薄い蜜柑色の空を見上げると、鳥が一匹飛んで居るのが見える。嗚呼、オレ、鳥になりたい。そうしたら、隣で泣きじゃくる女の子から、逃げられるのかもしれないのに。 少しは楽になるかも、しれないのに。

「そんな泣くなよー…」
「うっさ、い  浜田にはわかんない、っよ」

わかるから、言ってるんだけどな。ブランコは俺とを乗せて、重力に負けじと、ギーギー音を立てている。隣の女の子は相変わらず泣きやんでくれなくて、肩を震わせて、嗚咽を漏らさないよう必死だ。本当は、俺が泣きたいよ、

「そんなに好きだったの?」
「ったりまえでしょ…じゃなきゃ告白なんてしたりしないっ」
「でもあいつには好きな女が居たんだよ、しょうがないだろ?」
「わかってるってば!!」

悲痛な声を上げて、何で追い打ち掛けるようなこと言うの、と掠れた声で言った。俺は立ちあがって、の方まで歩いて行って、正面でしゃがんだ。下から見上げるように見れば、涙で髪の毛は顔に張り付いて、目も真っ赤で、どうしようもない顔をしてた。

「だって、それ狙ってんだもん」
「え…?」

困惑する彼女の濡れた頬を右手で覆う。水分を含んでいて冷たくて、なんだか、少し切なくなった。

「追い詰められて、俺に縋ることしか出来なくなれば良いって思ってるから」



(明日の記憶)